2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙往還機ロケットプレーンの自律協調型の海面離着陸に関する研究
Project/Area Number |
17760189
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 正樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (10398638)
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Keywords | 宇宙往還機 / 自律型協調知的制御 / 相対航法システム / 安全性 / 耐故障性 / ニューラルネットワーク / 誘導・制御系 |
Research Abstract |
本申請課題では,宇宙往還機ロケットプレー・ンの自律協調型の海面離着陸をテーマとして、水平離着陸型宇宙往還機システムと水上離着陸補助システムの各試験機を製作・開発し、さらに、高精度小型複合航法システムの開発および実験的検証を行った。また、着陸フェーズにおける安全性および耐故障性を考慮したロバスト性を有する誘導・制御方式および自律型協調知的制御方式を提案した。以下にその概要を示す。 ・高精度小型複合航法システムの開発および実験的検証 本研究では、搭載スペースに制約があり、外乱の影響も大きい小型実験機において運用可能な高精度な相対航法システムを構築した。具体的には、飛行体と高速艇間の相対量を直接計測する光学センサを導入し、姿勢表記にクオータニオンを用いることにより特異点回避と運動学モデルの簡素化を図った。また、デッドレコニングとカルマンフィルタを組み合わせた推定手法により、GPSや光学センサの取得データの精度劣化や欠落が起きた際にも高精度な推定が可能となった。これにより、互いの航法センサの特色を相互補完する形態で複合し、3次元空間内で相対的な位置・速度・姿勢の高精度な推定が可能となることを示した。 ・安全性および耐故障性を考慮した知的協調制御手法の提案 本研究の対象である自律無人航空機は、故障等の緊急事態が発生した際にも安全性を確保し、ミッション達成を可能にする耐故障システムが必要である。提案する制御システムでは、従来の誘導・制御系に加えて、ニューラルネットワークで構築した状態推定器と評価器を導入する。状態推定器は航空機の非線形なダイナミクスを近似的に実現し、現在の理想的な状態量を推定する。そして、推定値と実際に観測されるセンサデータを基に評価器で現在の飛行状態を評価し、制御系へ伝達する状態量を決定する。構築した6自由度の非線形シミュレーションにより、センサ故障が発生した際にも飛行継続が可能であることが確認された。また、着艦フェーズにおける協調制御においても、各センサから得られる位置や速度などの情報に加えて、状態推定器から出力された情報と航法系から出力された状態量を用いて現在の飛行状態を評価して、適切な制御系を用いることにより、危険状態の回避など状況に応じた自律的な対応が可能となった。
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