2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊柱彎曲に着目した人体座位モデル構築による腰痛防止のための姿勢制御システムの開発
Project/Area Number |
17760191
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
芝田 京子 高知工科大学, 工学部, 講師 (00307117)
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Keywords | モデリング / センシング / 評価 / 脊柱彎曲 / 腰痛 / 動作解析 |
Research Abstract |
腰痛の9割は姿勢の悪さからの背骨の歪みによる神経圧迫であるため,本研究では,姿勢変化を定量的に把握する一手法として,人体の筋骨格構造をコンピュータ内で再現し脊柱彎曲(背骨のS字カーブ)の形をシミュレーションすることで骨の位置を常時センシングし,姿勢が理想形から外れた場合に正しい位置に導くことのできるシステムの構築を目指している.これにより,車椅子利用者の悩みである腰痛の未然防止を行う.姿勢を決める大きな要素は,頚椎・胸椎・腰椎からなる脊柱彎曲と骨盤傾斜角であり,負荷の少ない理想的な各椎骨の位置が存在する.本年度は,マルチボディシステムとしての人体の姿勢が崩れる因果関係を明らかにした.股関節が骨盤に対し重力線よりも前方に位置するために座位において骨盤が前後方回転し,これに伴い腰椎の彎曲,続いて胸椎の彎曲が崩れる.さらに,これらと頭部の重みによって頚椎の彎曲が理想値から外れていく.この動作を反映させるために椎骨,筋,椎間板を基本機械要素で表した人体モデルの係数値の最適値を検討した.また,腰痛を定量的に評価する一手法として,脊柱彎曲半径を提案し,人体モデルにおける椎骨の位置からこれを算出する計算式の導出を行った.次に,製造メーカ等で試みられている背もたれや座面の形状による面圧分散の効果を検討するため,理想値の脊柱彎曲の形に添った背もたれを持つ車椅子モデルと,平らな背もたれを持つ車椅子モデルを構築し,それぞれに人体モデルを追加して自重による姿勢変化を比較した.結果,面圧分散した方が姿勢の崩れにかかる時間が長かったため腰痛軽減の可能性を得られたが,理想値を維持することはできなかったことから腰痛防止には不十分であると考えられる.今後,脊柱彎曲を理想値に導くための機構の追加検討が必要である.
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