Research Abstract |
近年,ロボティクスの分野における技術の発展に伴い,ロボット技術の社会生活における貢献が期待されている.すでに実績のある産業ロボットや医療ロボットのみならず,高齢化社会のニーズに対応した福祉ロボットやサービスロボットについても,実用の段階に来つつある. 研究代表者は,これまでに実験心理学の分野で提案されたヒトのボール捕獲時の動作戦略をロボットに適用し,ロボットによるボール捕獲を実現した.これはロボティクスと実験心理学の融合という観点からは,学術的な研究という面が強いが,ここで得られた多くの知見は,視覚センサによる動的な環境の変化の把握と,それに基づくロボットの制御という点において,より実用的なタスクを実現する上で,非常に有効なものであると考える. 本研究課題においては,「知的な集団行動の実現に向けた知能ロボットシステムの開発」を目的として,テニスやサッカーなどで初心者がボールの扱いに慣れるための基礎練習に位置づけられるボールリフティングタスクを取り上げ,このタスクを行うことが可能な知能ロボットシステムを構築した.このシステムを用いて,ヒトが初心者から上級者にいたるまでに身につける「こつ」のようなものをロボットが学習していく過程を明らかにするための研究を行っている.平成17年度の実績としては,実機システムの構築とその実験的検証により,リフティングタスクの実現し,複数台による集団行動に向けた基礎的な検討が終了した.このシステムを用いることで,平成18年度は集団行動に必要なアルゴリズムを構築し,実機システムに実装することで,検証が行えると考える. さらに,より高度なタスクを実現することを目的として,3次元空間を自由に移動可能な小型無人ヘリコプタのシステムを新たに構築し,視覚情報に基づく誘導制御の実験も行ったので,こちらについても,アルゴリズムを検証するための実機システムとして用いたいと考える.
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