2005 Fiscal Year Annual Research Report
動作電磁条件を考慮した低交流損失銀シース高温超電導線材の機能設計
Project/Area Number |
17760233
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
稲田 亮史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30345954)
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Keywords | 銀シース / 高温超電導線材 / 多芯化 / 断面構造制御 / 通電損失 / 磁化損失 / 全交流損失 |
Research Abstract |
1.高温超電導線材の全交流損失測定装置の構築 線材長手方向に平行(縦磁界)および垂直(横磁界)な交流磁界中において交流電流を輸送する高温超電導線材の全交流損失測定装置を構築する。全損失の測定には電気的手法を用いており,通電回路と外部磁界発生回路に接続した無誘導シャント抵抗からの信号を、2位相ロックインアンプにより検出し、電流と磁界の位相・周波数が厳密に一致するように制御した。通電損失は試料に接続した電圧端子から測定された電圧信号から,磁化損失は試料の周囲に適切な形状で配置した検出コイルから測定された電圧信号を用いて損失値に換算し、両者の和から全損失を決定した。特に、検出コイルについて試料形状と印加磁界方向を考慮に入れた設計を行い、測定精度に関する検討を系統的に行なった。 2.断面構造の異なる銀シース高温超電導線材の全交流損失特性の評価 構築した全交流損失測定装置を用いて,縦磁界および平行横磁界下で交流電流を輸送する銀シースBi2223高温超電導線材の全損失特性を評価した。測定は、通常の加工法で作製した線材と、二軸圧延加工により通電損失低減のために断面構造(超電導フィラメントの形状・配置)を制御した線材について実施した。線材幅および厚さはそれぞれ4mm,0.3mm,臨界電流値(I_c)は30A程度である。測定結果から,外部磁界に対してフィラメントは銀母材を介して電磁気的に結合して振舞うことが確認された。中心到達磁界(10mT)以下の低磁界振幅では通電損失が支配的であるため,断面構造制御による全損失低減効果が確認されたが,それ以上の磁界振幅では磁化損失の寄与が増大し,全損失低減効果は得られなかった。線材の中心到達磁界がI_c値に概ね比例して増大すること,更に送電用パワーケーブルにおいて想定される最大使用磁界振幅が数10mT程度であることから,導体を構成する低損失素線として断面構造制御のみを施した線材を使用するには、100A以上の臨界電流値(I_c)を達成する必要があることが示唆された。
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