2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境有害物質処理のための電子発生用ナノ電極の特性評価
Project/Area Number |
17760242
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
山浦 道照 (財)レーザー技術総合研究所, レーザービーム伝送研究チーム, 研究員 (20370215)
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Keywords | CNT電子源 / 脱塩素化処理 |
Research Abstract |
環境有害物質の一つであるダイオキシン類は、塩素基の数が多くなるほど毒性が強く、高度に酸化されたものである。本研究では、カーボンナノチューブ(carbon nanotube以下、CNT)電子源を用いて、ダイオキシン類の前駆物質であるベンゼン環に水酸基1つ、塩素基1つで構成されたオルトークロロフェノールを試料として脱塩素化(還元)処理を行ない、その高効率化を目指した。脱塩素化処理の最大の利点は、副生成物を出さずに100%完全処理が望めることである。 使用したCNT電子源は、多層カーボンナノチューブであり、CNT1本当たり電流密度は、500mμA/cm^2である。実験条件としては、容器内は、真空(10^<-6>torr)、カソード側にはCNT電極、アノード電極には銅電極をそれぞれ設置した。CNT電極の接地端子には、接地を行い、グリッド端子に+1kV、銅電極には+10kVの直流高電圧をそれぞれ印加した。電極間は3-4mmである。オルトークロロフェノールは、液体のため実験時は、吸着剤であるシリカゲル(吸着量650m^2/g)に担持させた。担持溶媒はエタノールを用いた。担持の際の蒸発エタノール中に、クロロフェノールは検出されていないことは、予め確認した。クロロフェノールが担持されたシリカゲルを電子源に、数分間暴露させた。処理後のシリカゲルをエタノールで十分洗浄し、ガスクロマトグラフィより抽出液を分析して、(脱塩素化)反応率を評価した。 その結果、処理時間1分で、オルトークロロフェノールの89%が処理され、同2分でほぼ100%処理されたことを確認した。当研究所が以前行なった、水素ガス雰囲気中での誘電体バリア放電中(交流電圧、8kV)の同反応率は約50%であり、CNT電子源を用いて処理量が2倍向上し、研究目的であったCNT電子源による脱塩素化処理の高効率化を示すことができた。
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