2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機薄膜電界効果トランジスタ界面への自己組識化単分子膜による変調と静電特性
Project/Area Number |
17760244
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 慎一郎 Tohoku University, 電気通信研究所, 産学連携研究員 (20361173)
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Keywords | ナノ材料 / 表面・界面物性 / 静電特性 |
Research Abstract |
Si(111)-7x7表面にフラーレン分子(C60)を超高真空下で蒸着した表面を新型の非接触型の顕微鏡である非接触型非線形顕微鏡(NC-SNDM)で観察した。その結果、単一のフラーレン分子がSi(111)-7x7表面のどのサイト(アドアトムとの位置関係)に位置するかでNC-SNDMの位相信号(電気双極子モーメントの上下が位相の0およびπに対応)が0とπに分かれる。具体的にはC60がSi(111)-7x7表面の3回対称サイト(3つのアドアトムによって形成される三角形の中心)でSi(111)-7x7表面とは反対の位相を示すことが分かってきた。これは現在のところ界面に誘起される下向きの電気双極子モーメントとSi(111)-7x7表面で誘起される上向きの電気双極子モーメントに由来すると考えられる。また、他の位置ではC60分子上で下向きの電気双極子モーメントは誘起されないと考えられるため、このような位相の反転は起きない。このようにNC-SNDMを用いると有機分子と基板との間の界面の状態の違いを2次元マッピングで観測できる可能性がある。また、NC-SNDMは測定方法が既存の顕微鏡とことなるため、単一のフラーレン分子の様子が今までの顕微鏡とは異なって観測される。実際には複雑な内部構造を示しており、詳細な解析が必要ではあるが新たな分子の評価方法の可能性を示している。このようにこの研究ではNC-SNDMを用いることで界面の新たな評価方法や分子の新たな観測の可能性を提示しており、ナノデバイスや界面物理に貢献できる研究成果である。
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