2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子配向・凝集状態に着目した有機分子半導体材料の電荷輸送の物理モデルの構築と評価
Project/Area Number |
17760249
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 玲 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 研究員 (70397058)
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Keywords | 有機半導体 / 分子配向 / 過渡光電流 / Time of Flight法 / disorder model / トラップ密度 / Multiple Trapping Model / 液晶 |
Research Abstract |
本研究はこれまで、分子配向を有する有機半導体の電荷輸送特性を明らかにするため、拡散を含むMultiple Trapping Model(MTM)を改良し、あらゆる材料に対して、一般に適用できる新たな解析手法を開発した。この手法は光キャリアの走行時間を測ることで移動度を求めるTime of Flight法(TOF)で、得られた過渡光電流に直接適用することで、有機半導体の電荷輸送についてトラップ密度分布を明らかにする手法を開発した。この手法はTOFにおいてサンプル厚を変える、あるいは因果電圧を変化させて広い時間領域に渡った時間プロファイルを集積することで電荷輸送にかかわるトラップ密度および分布の情報を得る手法である。次にこの解析手法に、照射電極とサンプルの間に界面準位トラップが存在するとしたモデルを作った。このことでバルクの挙動と、界面の挙動を分離することが可能になった。例えばビフェニルをコアにもつSmE相の液晶分子の電荷輸送について、従来の慣習的なTOF法からは移動度に電場依存性を持つ結果が得られていた。これは、配向性の高い液晶分子は数十meVとエネルギーのディスオーダーが小さく、通常の電場領域では移動度に電場依存性が現れないとしたこれまでの経緯と反していたが、今回の解析でそれは界面トラップによる効果であって、バルクでは移動度に電場依存性がなく、高い分子配向性をもった液晶分子に考えられる特性に従うことがわかった。また、光生成されたホールと対抗電極から注入した電子との対消滅の過程や、不純物準位に捕まったキャリアが液晶中をイオン伝導する場合などの解析モデルを構築し、実験データから、本来のサンプルのもつ電荷輸送特性を抽出する手法を得、解析が出来るようになった。このことで、理論・シミュレーションと実験データとの比較した議論が可能になった。
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Research Products
(2 results)