2006 Fiscal Year Annual Research Report
Co/Alox/Co/NiFe/Au/nSiダイオード構造におけるスピン依存伝導
Project/Area Number |
17760252
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
藤原 裕司 三重大学, 大学院工学研究科, 助手 (90301225)
|
Keywords | 磁気抵抗効果 / トンネル接合 / ショットキー接合 / 磁気電流効果 |
Research Abstract |
スピンエレクトロニクス(電子の電荷とスピンを制御するエレクトロニクス)に大きな注目が集まっている.本研究で対象としている素子は,Au/nSiショットキーダイオードとCo/AlOx/Co/NiFeトンネル磁気抵抗効果素子を組み合わせた,Co/AlOx/Co/NiFe/Au/nSi構造を持っ2端子素子である.予備実験では,1つの素子で,Au/nSiショットキーダイオードに対して逆方向に電圧を印加していくと,約0.8V付近で不連続な電流の増加が確認できた,また,別の素子では,電圧に対して,電流が振動的に変化するという結果が得られた. この結果の再現性を確認すべく,昨年度の結果をもとに,Si基板の表面処理法を確定して,Co/AlOx/Co/NiFe/Au/nSi2端子素子を作製した.液体窒素温度で,電流-電圧特性を測定したところ,電流が流れ始める順方向電圧は0.5V程度であり,逆バイアスで流れる電流はおおむね2nA以下であった.研究の目的は逆バイアス領域での不連続な電流変化を観察することであったら,この素子では観測できなかった.この理由として,予備実験で使用した素子の順方向電圧はほぼ0.8Vであったが,この素子では0.5Vと低い値であり,ショットキーバリアが低かったことが上げられる.また,現在使用している装置ではショットキー接合を作製した後,真空を破って,別の装置でオーミック接合を形成しているため,この待機暴露の工程が悪影響を与えていることも考えられる. 逆バイアス領域では磁気電流効果が得られなかったが,順バイアス領域においては磁気電流効果がえら得られている.これはCo/AlOx/Co/NiFe磁気トンネル接合の特性を反映したものであると考えられる. Co/AlOx/Co/NiFe/Au/nSi2端子素子の逆バイアス領域における不連続な電流変化を観測するためには.ショットキーダイオードの特性を改善が必要である.真空を破ることなく,ショットキー接合,オーミック接合を作製するために,成膜装置を改造中であり,今後も研究を継続する予定である.
|