2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760261
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
直井 弘之 立命館大学, COE推進機構, 研究員 (10373101)
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Keywords | InN / In_xGa_<1-x>N / In_xAl_<1-x>N / 熱処理 / RF-MBE / 熱的安定性 |
Research Abstract |
本年度は、まず、InN系半導体(InN、In_xGa_<1-x>N、In_xAl_<1-x>N)薄膜の熱処理実験装置として使用する液相エピタキシャル成長(LPE)装置のコントローラユニットのオーバーホールを行い、熱処理実験を行うための環境を整えた。ところが、試料を作製するためのRF窒素プラズマ支援分子線エピタキシー(RF-MBE)装置が例年になく頻繁に故障し、この1年間で10回ほどメンテナンスを行ったため、予定していた研究計画を遂行するための試料の提供を充分に受けることができなかった。このような状況の中、限られた個数の試料を用い、InNに関して、まず以下のような重要な知見を得た。 1.大気圧窒素雰囲気中にて熱処理を行うと、もともとの試料の表面に凹凸が場合は、In極性およびN極性のInNともに熱処理後に表面平坦性が向上する。 2.InNは、窒素大気圧下においては真空中の場合に比較して熱的安定性が増し、両極性の試料とも、RF-MBE法によるInNの成長温度(In極性:約450℃、N極性:約530℃)よりも少なくとも100〜150℃高い温度まで試料表面に顕著な劣化がみられない。 以上の結果は、今後より詳細な熱処理実験を行う上で、試料を破壊しない熱処理温度の上限に関して重要な情報となるものである。 次に、来年度の研究計画に含めていた、N極性In_xAl_<1-x>N薄膜の真空中での熱処理実験を行った。InNに比較して熱的安定性が向上することがわかり、InNを熱処理する上で、In_xAl_<1-x>Nを表面保護膜として使用できる知見を得た。 今後は、両極性のIn_xGa_<1-x>N、In_xAl_<1-x>Nに関しても熱的安定性を詳細に検討するとともに、これらInN系薄膜の高品質化(結晶性の改善、残留キャリアの低減)を行うとともに、これらInN系薄膜の積層構造のヘテロ界面の熱的安定性を検討し、InN系デバイス開発に応用していく予定である。
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