2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760261
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
直井 弘之 立命館大学, COE推進機構, 研究員 (10373101)
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Keywords | InN / 熱処理 / RF-MBE / 熱的安定性 / 極性 |
Research Abstract |
昨年度は液相エピタキシャル装置を熱処理実験装置として転用し、熱処理実験を行ったが、この装置ではInNの熱処理を行う比較的低い温度領域での温度の制御性および精度が乏しく、詳しい実験検討ができないことが分かった。そこで本年度は、別途予算で購入した応答性・均熱性に優れたランプアニール装置を用いて実験を行った。昨年度に引き続き、試料作製のためのRF窒素プラズマ支援分子線エピタキシー装置の不良状態が続いたため、研究計画を遂行するための試料提供を充分に受けることができなかったが、以下のような成果を得た。 真空中で熱処理を行うと、C面In極性InN膜の場合、450℃で既に表面形態に明瞭な変化が現れ、550℃ではほとんど跡形もなく膜が分解してしまうのに対し、C面N極性InNの場合、500℃でようやく表面形態に若干の変化が現れ、550℃でも表面に少しInドロップレットが形成される程度で膜厚もほとんど変化がみなれなかった。ただし、600℃では膜がほとんど分解されてなくなってしまった。これらの結果は、N極性InNがIn極性InNよりも熱的に安定であることを示しており、N極性InNの方が成長温度を高くできるという報告と矛盾がない。A面無極性InN膜についても同様に、真空中で600℃までの温度範囲で熱処理を行ったが、膜が分解する様子はみられず、膜厚にも特に変化はみられなかった。これは、A面無極性InNの熱的安定性がC面有極性InNよりもかなり高いことを示している。無極性面を有する結晶膜は、膜に垂直な方向に分極電場が存在しないため、発光デバイスに応用された場合、発光効率を飛躍的に上げることができると期待されている。本研究により、A面無極性InNを用いれば、発光効率が高いだけではなく耐熱性にも非常に優れた赤外発光デバイスが実現する可能性があるという、InNのデバイス応用上非常に重要な知見が得られた。
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Research Products
(1 results)