2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル強磁性体-カーボンナノチューブ接合の作製とスピン状態検出プローブ応用
Project/Area Number |
17760267
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 健一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (80360931)
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Keywords | スピントロニクス / ホイスラー合金 / 磁気抵抗素子 / ハーフメタル強磁性体 / スピン検出 |
Research Abstract |
本研究は、ハーフメタル強磁性体とカーボンナノチューブからなる磁気抵抗素子を作製し、その磁気抵抗効果を利用したスピン状態検出プローブ応用を目指すものである。平成17年度はその目的に対し、Co系ホイスラー合金の成長と基本的な磁気特性、結晶構造を調べる事を主に行なった。Co系ホイスラー合金はハーフメタル強磁性体であるという理論的な指摘がある上、強磁性転移温度が700℃以上と高く、室温動作するデバイスに利用するのには最適な性質を持っている。しかしながらその磁気特性は、結晶構造に強く依存しており、これまであまり良い報告例はなかった。本研究ではMgO基板とCo系ホイスラー合金の格子定数が比較的に近い事に着目し、スパッター法によるエピタキシャル成長の可能性を検討した。 その結果、Co_2Cr_<0.6>Fe_<0.4>Al(以下CCFAと略す)がMgO基板上に単結晶成長する事が確認された。またその成果はJournal of Crystal Growth誌に掲載された。さらに他のCo系ホイスラー合金Co_2MnGe,Co_2MnSiなども同様の成果を得ておりJournal of Physics D誌に発表された。また現在論文として投稿中でのものもある。一方、これらの合金を強磁性電極として用いた磁気抵抗トンネルデバイス(Magnetic Tunnel Junction)の作製も行なった。そしてそれらのMTJ構造において室温で90%、低温で240%に達するトンネル磁気抵抗比を得ている。この値は現在報告されているトンネル磁気抵抗比のなかでも比較的に大きい値であり、基礎的な研究のみならずMRAM等の応用の観点からも注目されている。これらの成果のうちのいくつかは現在論文投稿中であり、また学会等で口頭発表を行なっている。
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