2005 Fiscal Year Annual Research Report
導体の表面状態に起因する受動相互変調歪に関する研究
Project/Area Number |
17760299
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
久我 宣裕 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80318906)
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Keywords | 相互変調ひずみ / 電気接点 / 非線形性 / 導波管 / 定在波測定 / PIM / 銅張積層板 / マイクロストリップ線路 |
Research Abstract |
導体の表面状態に起因して発生する相互変調ひずみ(PIM)を高精度に評価するための手法について検討した.本年度は箔状の導体材料を評価試料とするための方法を2種類考案し,2GHz帯で有効性を評価した. 一つは試料である銅箔で導波管を形成する方法である.この方法はマイクロストリップ線路と導波管を一枚の銅箔で構成するものであり,PIM測定の障害となる電気接点の少ない構造を実現できる.本年度は線路変換部分での漏れ放射が少なく,かつ導波管部分の電流が内壁面側に集中するようなモデルを目標に,電磁界解析による設計を実施した.その結果,導波管内部にテフロン等の誘電体を充填することで,厚み10mm程度以下であれば漏れ放射を10%以下に抑制できることを示した.また導波管の基本設計および試作を行い,入力特牲の評価までを実施した. 一方,同軸線路の先端を測定試料で短絡して評価する方法も検討した.この手法は定在波により測定する点が特徴であり,少ない入力電力で大きな電流を試料に印加できる.試料も波長に比して小さいものを用いるため点状のPIM源とみなすことが可能であり,測定部位が明確である.また線路とDUTの整合を考慮する必要が無いため,試料形状の自由度も大きい.本年度は上記の利点をもつ提案手法の有効性を実験により確認した.基礎検討では,特性既知の細線状円筒導体をDUTとして採用した.これにより試料に印加される電流密度を厳密に評価することが可能となり,発生するPIMの定量的評価も期待できるようになった.またこれらの結果を銅箔材料に対して適用した結果,銅箔材料の差異を,従来の手法に比して高感度かつ安定して検出できることも確認された.なお本手法で用いるDUTは,本年度新規購入した高電流ソースメータによりI-V特性評価も可能であるが,これについては今後詳細な検討を進める予定である.
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