2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760306
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 新 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (60362646)
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Keywords | 雑音除去 / 線形予測 / 狭帯域雑音 / 実環境雑音 / ALE |
Research Abstract |
雑音が重畳する音声に対する雑音除去法として,雑音再合成方式が提案されている.雑音再合成方式は,白色化フィルタと雑音再合成フィルタの2つの部位から成る雑音除去システムであり,広帯域雑音の除去に有効であることが報告されている.しかしながら,本方式が原理的に狭帯域雑音に対応できないことから,実環境雑音に対してどの程度有効であるのかは明らかにされていない.そこで本研究では,雑音再合成方式の実環境雑音に対する除去性能を評価し,いかなる環境雑音に対しても有効に動作するように改良を加えることを目的としている. まず,昨年度では,様々な実環境雑音に雑音再合成法を適用した結果,狭帯域の雑音成分が除去されずに残留することを明らかにした.さらに,線形予測器の一種である,適応線スペクトル強調器(ALE)を利用することで,このような狭帯域雑音の除去が可能であることを実験的に示した. そして本年度では,ALEの雑音除去性能に関して理論的に考察し,さらに雑音再合成法との融合について検討した.ALEに関する理論的考察から,ALEの係数収束値と,結果として得られる周波数特性を明らかにした.さらに,この解析結果から,ALEの適応アルゴリズムには,従来のLMSアルゴリズムよりもリーキーLMSアルゴリズムを用いた方が,所望の雑音除去特性が得られることを明らかにした.また,雑音再合成法とALEとの融合に関する検討では,雑音再合成法の後段にALEを縦続接続しなければ,狭帯域雑音の除去性能が劣化することを示した. 次年度以降は,雑音再合成方式とALEを融合した,実環境雑音除去方式をDSP(Digital Signal Processor)に実装し,リアルタイム処理の実現可能性にういて検討する予定である.
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