Research Abstract |
17年度では非線形システムが数万次元の非線形微分代数方程式あるいは時系列データによって特性化さていると仮定し,その動作モデルを作成する方法について検討を行った。18年度では17年度で開発したモデリング手法を,次年度のソフトウェア開発に向け,アルゴリズムの改良を行った。微分方程式の低次元手法,ニューラルネットワークを用いた非線形時系列解析のモデリング手法を精度,効率の観点から修正を行った。特に,微分方程式の低次元化手法における平衡化打切法では,効率良くモデルの抽出を行う方法について検討を行った。微分方程式の次元縮退には変換行列が必要となるが,これを得るためにリヤプノフの行列方程式を解く必要がある。この求解には特異値分解が必要であり,次元数が多くなった場合には非常に多くの計算コストが必要となる。そこで,リヤプノフの行列方程式の係数行列を,クライロフ部分空間法を用いて次元の縮小を行い,縮退されたリヤプノフの行列方程式を,特異値分解法を用いて解くことにより,モデリングに要する計算時間を短縮した。例題として,無線装置,簡易的なマイクロマシンのモデリングに適用し,その有効性を確認した。また,本手法は,パッケージ,集積回路,プリント配線のモデリングにも有効であることを確認した。対象となる配線を電磁界解析手法によってRLC回路に変換し,得られた線形回路網を提案手法によって次元縮退を行ったところ,効率良くモデルが抽出できることが確認できた。
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