Research Abstract |
GPSに代表される人工衛星を用いた位置計測システムは,GNSS (Global Navigation Satellite System)と呼ばれ,日本の準天頂衛星システム,欧州のガリレオ等の打ち上げを目前に控え注目されている.宇宙空間より受信機に到達する測位用電波は,絶えず地球を取り巻く電離層や対流圏の影響を受ける.また,電波の受信環境(ビルの谷間などでは受信できない)にその利用性を左右される.さらには衛星軌道情報の誤差や,受信機の時計誤差等が存在し,測位精度劣化の原因となる.本研究ではこのような様々な影響を考慮した観測モデルに基づき,単一の受信機においてサブメートル,さらにはセンチメートルオーダの高精度測位を行う手法について研究を行っている. まず,高精度単独測位を念頭に置いた観測モデルとして,GNSS線形回帰モデルを導出,採用し,実際の受信データを用いた実験を行った.その結果,1周波のコード擬似距離および搬送波位相データを用いた単独測位において,10〜20[cm]程度の精度が得られることを確認した.この観測モデルは,簡単ではあるが応用範囲は広く,単独測位のみならず,相対測位やキネマティック測位においても活用可能である.また,さらなる精度向上,収束速度の向上のため,品質劣化データの検出,排除方法の提案と応用,観測データに対する重み付けの手法等の提案を行い,平成18年度において,その研究成果を米国航法学会の国際会議において発表を行う予定である.
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