2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760324
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
松岡 剛志 九州産業大学, 工学部, 講師 (40325551)
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Keywords | ミリ波通信 / 多重散乱解析 / ベクトル輸送方程式 |
Research Abstract |
平成17年度は次の2つの課題に取り組む計画を立てた. 1.各降雨強度に対する雨滴の平均ミリ波散乱・吸収特性を求める. 2.雨滴の平均ミリ波散乱・吸収特性を用いてベクトル輸送方程式中のパラメータを決定する. 1.の課題について,まず雨滴形状および粒径分布を考慮に入れた散乱・吸収特性の結果を確認するために,ミリ波伝搬数値シミュレーションを行った.数値シミュレーションには,CIP (Constrained Interpolation Profile)法およびFDTD (Finite Difference Time Domain)法を用いた.従来からこの分野で広く利用されているFDTD法に対し,CIP法は近年注目を集めているシミュレーション法である.本研究の対象であるミリ波通信を想定すると,波長が短い電磁波が長距離伝搬する状況を考える必要がある.問題を簡単にし,1次元問題で電磁波長距離伝搬問題をCIP法およびFDTD法を用いて解析した.その結果,同じ計算条件で長距離伝搬させたとき,FDTD法に比べてCIP法は誤差が小さいことがわかった.さらにCIP法にエネルギー保存の要素を導入すると,通常のCIP法に比べて利用するメモリ量は1.5倍になるが,数値誤差は4桁ほど小さくなった.CIP法は,1次元問題を順次適用するだけで3次元問題に適用できるため,通信の分野の電磁波伝搬シミュレーションにCIP法が有効であることが示された.これにより理論解析と比較する準備が整った.一方,理論解析は現在解析を進めており,順次2.のベクトル輸送方程式へ展開していく予定である.1.,2.で得られた知見および理論解析と数値解の比較検討については来年度国内の学会・研究会で公表する予定である.
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