2006 Fiscal Year Annual Research Report
不要電磁波解析による情報漏洩を防ぐセキュア無線通信プロトコルの開発
Project/Area Number |
17760325
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
田中 秀磨 独立行政法人情報通信研究機構, 第三研究部門情報通信セキュリティー研究センターセキュリティー基盤グループ, 主任研究員 (30328570)
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Keywords | サイドチャネル攻撃 / 暗号プロトコル / 不要電磁波 / テンペスト |
Research Abstract |
1.研究背景 本研究の目的はサイドチャネル攻撃に対して安全な無線通信における暗号プロトコルの開発である。前年度は通信帯域とは別の帯域における電磁波、いわゆる不要電磁波(雑音)にどの程度の情報が含まれるのかについて取り組んだが、有意な結果が得られなかった。一方でプロトコルの評価手法ではパスワードを使った鍵交換プロトコルの安全性を対象に、共通鍵ブロック暗号の解析手法を取り入れた研究報告を行った。 2.研究内容 今年度は、前年度に引き続き不要電磁波に含まれる情報料の見積もりに関する研究に取り組んだ。研究代表者はこれまでにテンペストにおいて、不要電磁波と情報再現に関する取り組んだ実績があり、そこでの手法を取り入れた。テンペストでは利用する受信機の帯域幅の設定が情報再現の成功に影響を与える。そこで、対象の機器と受信機の間を連続通信路とみなすことにより、その通信路容量算出から電磁波に含まれる情報料の見積もりを行った。投書はプロトコルのデータを対象に実験を試みたが、処理中のデータと電磁波放射の相関に関して不一致性が見られたため、具体的な実測令はテンペストで行った。テンペストでは画面に表示された情報が対象であり、このようなマン-マシンインターフェースに関する情報の傍受はプロトコルの情報の傍受に比較すると成功しているかの判断が付きやすいためである。本研究結果は2006年情報理論とその応用シンポジウム(SITA2006)で1件、2006年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2007)で2件の発表を行った。さらに国際学会に投稿中であり論文誌にも投稿する予定である。 3.課題 これらの結果から、現在使用している機器構成がプロトコルの情報を傍受するのに十分でない可能性が生じた。これはプロトコルの通信速度に比べて、対象機器と受信機間の通信路容量が小さいことが理由である。帯域幅が大きい測定器を用意するかS/Nを大きくする工夫が必要である。これらについては来年度、引き続き取り組む課題である。
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