Research Abstract |
本研究では,「制御システムにおいて,所望する制御仕様を満たすには,通信にどの程度帯域が必要であるか?」という問題を出発点とし,研究対象を大規模制御システムに広げ,帯域制限を考慮した制御系の解析・設計手法の確立を目指す. 今年度も引き続き,大規模制御系の安定化問題を考え,特に回線共有のための通信方式に関して,より現実的なネットワーク化制御系のモデル化を行った.特に制御対象と制御器間の通信路において,パケットは確率的に損失すると仮定した.系の安定化に必要な通信性能に関する基礎的な結果を,(1)複数の回線を用いた場合および(2)量子化・符号化が伴う場合について求めた.また,昨年度導出した最適制御法を拡張し,複数の性能指標下での制御器設計が可能となった. 主に理論的研究を進めたが,有効性の検証はシミュレーション実験および実験用制御装置を用いて行なった.特にテレオペレーション系の制御への提案手法の適用を考え,この系における特性を考慮した設計法を含めて検討した. これまで研究を行ってきた量子化信号を用いた制御系の性能解析,また適応制御についても,新たに発展させた.他方,本研究のベースとなるハイブリッド系についても安定化手法に関する基礎的な課題や,分散型マルチエージェント系の同意問題における通信に関連する課題にも取り組んだ. 以上の結果の一部をAmerican Control Conf.(6月,Minneapolis, MN, USA), Int.Symp.Math.Theory of Networks & Systems(7月,京都), IEEE Conf.Control Applications(10月,Munich, Germany), IEEE Conf.Decision & Control(12月,San Diego, CA, USA)等の国際学会,および計測自動制御学会等が主催する国内学会で発表した.
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