2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の細胞分裂に対する理論システム生物学の構築に関する研究
Project/Area Number |
17760347
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東 剛人 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (60308179)
|
Keywords | システムバイオロジー / 酵母 / 細胞分裂 / ロバスト性 / 遺伝子ネットワーク / 感度解析 |
Research Abstract |
平成17年度における研究補助金を受けて,酵母の細胞分裂におけるロバスト性向上に関わるタンパク質の存在を理論的に示すことが可能となり,実験を行う際の指針を与えることが出来た.まず,酵母の細胞分裂における最も基本的な遺伝子ネットワークであるActive MPFに基づくモデルを質量方程式により記述し,非線形モデルを導出した.この基本モデルにおいてはActive MFPの濃度自体が自身の反応速度を決定するといった仮定があり,実際にその仮定が細胞分裂のリズムを決定する際の重要な要素であることを示した.そして,このモデルの10個パラメータに対して,感度解析手法を用いてその値を求め,微小なパラメータ変動に対するロバスト性について考察した.このパラメータ変動は実験ではタンパク質の急激な変動として捉えることも可能であり,実験により再現することが可能である.このモデルでは,すでに述べた自己フィードバックループが重要かつ細胞分裂のリズム形成に重要な役割を果たすことを数値シミュレーションで示したが,この自己フィードバック部分に相当するタンパク質が存在すると仮定し,再度質量方程式により非線形モデルを導出し,感度解析を行った.その結果,本研究で仮定したタンパク質により,酵母の細胞分裂のロバスト性が大幅に向上すること及びこのタンパク質を考慮することにより細胞分裂のリズムが軌道の揃ったリミットサイクルになることが判明した.平成18年度においてはこれを実験により検証し,さらには最新の細胞分裂の遺伝子ネットワークに対して新しいシステム理論の適用から新たな細胞分裂の現象予測を導き出す予定である.
|