2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の細胞分裂に対する理論システム生物学の構築に関する研究
Project/Area Number |
17760347
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
東 剛人 宇都宮大学, 工学部, 講師 (60308179)
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Keywords | システム制御 / システムバイオロジー / 酵母 / 細胞分裂 / ロバスト性 / 遺伝子ネットワーク / 感度解析 |
Research Abstract |
平成18年度における研究補助金を受けて,酵母の細胞分裂におけるCdc25タンパク質及びWee1タンパク質の機能を,システム理論を用いることによって,理論的に示すことが可能となった.まず,Active MPFに基づく酵母の細胞分裂の基本タンパク質ネットワークモデルを,質量方程式手法及びミカエレス・メンテン法の2種類の方法を用いて,非線形方程式として記述した.次に,非線形方程式に対して周期感度を定義し,それぞれの非線形方程式に対して適用した.そして,この周期感度に基づいて酵母の細胞分裂のロバスト性を検証したところ,Cdc25タンパク質及びWee1タンパク質を考慮することで,酵母の細胞分裂のロバスト性が飛躍的に向上することが示された.特に,質量方程式手法及びミカエレス・メンテン法のどちらの場合においても,Cdc25タンパク質及びWee1タンパク質を考慮することでロバスト性の飛躍的な向上が見られ,表現方法によらずロバスト性向上の結果が得られたことは従来の実験ベースの酵母の細胞分裂研究では得られていないものである.以上の研究成果を考慮すると,本研究の結果として,酵母の細胞分裂に対する理論システム生物学に対するロバスト性を検証するための一つの方法を確立することが出来た.しかし,酵母の細胞分裂に関連するタンパク質はすでに数百個見つかっており,その遺伝子-タンパク質ネットワーク構造を考慮すると,状態が1千次元程度のロバスト性解析手法の確立が必要となる.また,ロバスト性解析以外に,細胞分裂を停止させるための制御手法を確立するなどの課題が残されている.
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