2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760348
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
軸屋 一郎 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (90345918)
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Keywords | 制御工学 / スペースクラフト / 人工衛星 / 姿勢制御 / 磁気トルカ / 周期時変システム |
Research Abstract |
近年、リスク回避や経済性の観点より人工衛星の小型化の需要が高まっている。このためには姿勢制御用アクチュエータの小型化が不可欠であり、本研究では、磁気トルカのみを用いた姿勢制御系の開発を目的とした基礎研究を行った。 磁気トルカは電磁石を用いて地磁気との相互作用によりトルクを発生させる装置である。円盤を回転させてトルクを得るコントロールモーメントジャイロと比較するとトルクが弱く、通常は補助的なアクチュエータとして用いられる。また静止衛星の場合には姿勢を制定できない特異な角度が生じるという難点も知られている。本研究では、人工衛星を地球の周りを周期的に移動させる場合には特異性が解消されることに着目し、姿勢制御系設計用のモデルを構築した。このとき運動方程式は周期時変系となり、よく知られるネガティブフィードバックを用いて安定化できない。 前年度は、本研究固有の難点に対処するために線形近似を行い、さらに一軸まわりの姿勢制御のみに限定するという簡略化を行った。すると難しさはアクチュエータの作用の平均が0となることにあるということが明らかとなった。そこでアクチュエータと同じ周期を持つ正弦波を組み込むと平均を0からずらすことができるというアイディアを用いてコントローラを構成した。さらに安定性解析を行って理論的な性能保証を与え、数値計算によりその有効性を確認した。 本年度は、三軸周りの姿勢制御問題への拡張を目指し、一般の線形周期システムへの制御問題を考えた。一般の線形周期システムでは、従来、可制御性・可安定性・最適制御に関する理論が完成していると考えられており、適用することを検討した。所が、可安定性の議論を中心として、従来研究に誤りがあることが明らかとなった。そこで、可安定性の議論を中心として精査し、従来研究に対する反例の提示や可安定となるための条件の解析を行った。
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