Research Abstract |
本年度は,乾燥収縮試験,凍結融解試験,疲労試験の結果からみた,コンクリートへの高吸水率細・粗骨材の適用方法について考察した。細骨材には建築構造物の解体がらから製造した再生細骨材,川砂,軽量細骨材を,粗骨材として砕石,軽量粗骨材,高炉スラグ粗骨材を用いた.そして,普通骨材を用いたコンクリートを基準とし,細骨材または粗骨材を一部または全部置換した. その結果,骨材の種類によらず,単位セメント体積あたりの収縮量とTW/Cとの関係は直線関係でとなった.一方,24時間吸水量以上の水を吸収している高吸水率粗骨材を用いた場合,乾燥収縮ひずみが減少した.すなわち,骨材中の水は,早期にセメントの水和に影響を及ぼす水と硬化後に自由水となる水に分けられること,その境界が24時間吸水量であることがわかる.また,高吸水率細骨材を用いたコンクリートの耐久性指数はC/TWと関係があった.同じ原コンクリートでも,再生粗骨材を用いた場合には耐久性指数の低下が大きくなった.これは,骨材の粒径や空隙構造により,骨材自身の耐凍害性が異なるためと考えられる.最後に,割裂引張疲労試験を行った結果,供試体数が少ないものの,再生細骨材の混入により,SN曲線の傾きが変化した.これは,骨材の変形性能の影響と考えている. 以上の結果から,骨材の24時間吸水量を考慮した単位総水量と単位セメント量との比(C/TW)を用いれば,高吸水率細骨材を適用した際のコンクリートの強度,中性化深さ,乾燥収縮ひずみ,耐久性指数を予測でき,未利用材料でもコンクリートへの適用がある程度可能となる.一方,高吸水率粗骨材の場合も同様にC/TWによりおおよそ予測でき,吸水量が多い場合,乾燥収縮ひずみの低減効果もみられた.ただし,粗骨材の場合,粒子の変形性能が影響し,疲労や変形による破壊のメカニズムが異なる可能性があり,今後,そのような観点での検討が必要である.
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