2006 Fiscal Year Annual Research Report
凍結融解環境下における表面保護コンクリートの劣化メカニズムと耐久性評価手法
Project/Area Number |
17760365
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学部, 助教授 (10295959)
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Keywords | コンクリート / 凍結融解 / 凍害 / 表面保護工法 / スケーリング / 耐久性 |
Research Abstract |
近年、コンクリート中への外部因子の浸透防止、あるいは浸透抑制といった観点から、コンクリート表面を保護するための種々の材料が開発されている。これらは、大きく分けてコンクリート表面を被覆する(表面被覆)タイプと、表層部に含浸させる(表面改質)タイプの2種類に分類されるが、その原料成分は様々な種類のものが存在し使用されている。また、これらコンクリートの表面被覆材および表面改質材は、主にコンクリートの物質透過性に着目し研究・開発されてきたこともあり、凍結融解作用を受けるコンクリート構造物に適用する場合、材料自身の耐久性も含め、その劣化メカニズムについては解明されているとはいい難い。そこで本研究は、表面被覆材および表面改質材を用いたコンクリートの凍害劣化メカニズムについて明らかにするとともに、その耐久性評価手法を提案することを目的としたものである。本年度は、表面保護コンクリートのスケーリング抵抗性や物質透過性について実験的に検討した。 なお、実験に使用した表面含浸材は、珪酸アルカリを主成分とする含浸材A、珪酸質系水溶液にポリマーディスパージョンを混合した含浸材B、シリコン系シラン化合物を用いた含浸材Cの3種類である。さらに、表面被覆材は、アルコキシシロキサン系の被覆材D、シリカ溶液を主成分とする被覆剤Eおよび被覆剤Fの3種類である。得られた結果の概要を以下に述べる。 1.表面含浸材Aを用いたコンクリートは長期間にわたりスケーリングの抑制効果が確認できる。特に、凍結融解100サイクル付近まではW/Cが60%のケースでも、発生したスケーリング量は極めて少なかった。一方、表面被覆材を用いたコンクリートのスケーリング抵抗性は、無処理のコンクリートに比べ何れのケースにおいても大きく向上する傾向にある。特に、表面被覆材E、Fを用いたコンクリートでは、スケーリングの発生はほとんど確認されなかった。さらに、凍結融解環境下において表面保護材料によりコンクリートに高いスケーリング抵抗性を確保する場合、予防保全的に適切な間隔で保護材料の再施工を実施する必要があると考えられる。 2.被覆材Eはコンクリート内部へのCO_2の進入を大きく抑制する効果を有することが確認された。また、塩化物イオンの浸透試験結果より、被覆材E、Fを用いたコンクリートは無処理のコンクリートと比べて見掛けの拡散係数が1/3〜1/5に低下し、高い塩化物イオンの浸透抑制効果が確認された。さらに、表面保護材料を用いたコンクリートの物質透過性は、水セメント比が低いケース程、より大きく改善される傾向にある。
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Research Products
(6 results)