2006 Fiscal Year Annual Research Report
断層直近の地震動に対する残留変位のメカニズムとその推定法に関する研究
Project/Area Number |
17760370
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 学歩 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (50334545)
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Keywords | 耐震設計法 / 断層近傍地震動 / じん性設計 / 非線形動的解析 / 橋梁構造物 / 残留変位 / 非線形応答 |
Research Abstract |
荷重ベース静的耐震設計に基づき強震動を受ける橋梁構造物の耐震設計を適切に行うためには,橋梁構造物の強非線形特性を考慮して,弾塑性要求耐力,桁応答変位,地震後に橋梁構造物に残る残留変位を適切に推定することが重要である.本研究では線形応答に対する非線形応答に基づき,要求耐力を与えるための荷重低減係数と桁応答の増大を表すための変位増幅係数を定義し,荷重低減係数および変位増幅係数に及ぼす断層近傍地震動の影響を,現在までに我が国の他諸外国で得られている断層近傍地震動に基づき明らかにした.さらに,地震後の復旧可能性に大きな影響を与える残留変位の発生メカニズムを明らかにすると同時に,この実用的な推定式を提案した. 1)1992年以降現在までに我が国を含む諸外国で観測された150成分の断層近傍地震動に基づく解析によれば,断層直近距離が10km未満ではそれ以上の距離に比較して,固有周期0.8秒以下の領域では,荷重低減係数が減少し非線形要求耐力が増加する傾向が認められることを示した.本研究結果は断層近傍地震動が,構造物の要求耐力に関して影響を及ぼすことを明らかにし,断層近傍になるほど過度のじん性に頼った設計を行うべきではないことを示した. 2)RC橋脚の履歴特性をよく表すTakeda型剛性劣化型モデルを用いて,RC橋脚に生じる残留変位について解析を行った.現行の基準に採用されている弾塑性バイリニア型モデルを仮定した場合の残留変位と比較して,RC橋脚の残留変位は小さく求められることを示すと同時に,特異な分布を示すことを明らかにした.このため,非超過確率に基づいた残留変位比の分布を示し,地震後の機能性をより合理的に推定できるようにした.
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Research Products
(5 results)