2006 Fiscal Year Annual Research Report
材料の劣化したコンクリート構造物の性能評価に対応した解析システムの開発
Project/Area Number |
17760372
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
斉藤 成彦 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (00324179)
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Keywords | RBSM / 材料劣化 / コンクリート構造物 / 鉄筋腐食 / 塩分浸透 / 物質移動解析 |
Research Abstract |
本研究は,供用開始時から長期にわたる構造物の耐荷性能の変化を経時的に把握することで,構造物の長期耐久性能を評価するための構造解析システムの開発を目指す.具体的には,構造物を取り巻く環境作用に基づいた材料の劣化モデルを取り込んだ構造解析を通して,材料が劣化した構造物の諸性能を評価する手法を開発する.本申請による研究期間内では,水分の塩分に関する物質移動モデルを構造解析システムに導入し,構造物中のコンクリートの相対湿度分布や塩分濃度を評価することで,乾燥収縮ひびわれの発生や鉄筋腐食の進行過程の予測を試みる.これにより,本解析手法は材料の劣化した構造物の耐荷力評価につなげることができる.開発した解析プログラムにより,供用開始から時間が経過した構造物中の材料の劣化状況を評価できるため,本年度は材料の劣化した構造物の耐荷力の評価を試みた.解析対象には,せん断破壊型と曲げ破壊型の異なる破壊形式を示すRCはりを選び,鉄筋の腐食などの材料劣化が破壊耐力や破壊形態に及ぼす影響について検討を行った.その際,材料の劣化が部材に対して一様に生じる場合と,ある側面からのみ劣化が進行する場合を比較することで,構造物の周囲の環境条件がどのように構造性能に影響を与えるかについても検討を試みた.また,RC構造物の耐荷性能に影響を及ぼす鉄筋の腐食は,実際には鉄筋に沿って腐食程度が著しく異なっている.鉄筋が一様に腐食すると仮定した場合と腐食分布を考慮した場合とでは,耐力の低下傾向が異なることが予想される.そこで,鉄筋に沿った腐食分布を考慮した解析を行い,腐食のばらつき程度と耐力低下傾向との関係を求めることを試みた.なお,本解析システムは,将来的には,耐震性能評価用プログラムと融合させることにより,材料の劣化が懸念される既設構造物の耐震性能評価に利用していく予定である.
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Research Products
(1 results)