2005 Fiscal Year Annual Research Report
損傷を有するRC部材の残存性能と補修補強後の性能評価に関する研究
Project/Area Number |
17760381
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊藤 睦 中部大学, 工学部, 講師 (00345927)
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Keywords | RCはり / 損傷指標 / 残留ひび割れ幅 / 残留ひずみ・応力 / 補修後の性能 |
Research Abstract |
近年の世界的な設計体系は性能照査型の設計体系に移行されつつあり,コンクリート標準示方書にもこの概念が取り入れられようとしている。この性能照査型設計の基本性能には,使用性,安全性に加えて,新たに復旧性が加えられている。このため,復旧性に対する適切な限界状態の設定,地震により構造物が被る損傷度を適切に評価する手法,被災構造物の残存性能の評価手法,および補修・補強後の構造物の性能評価手法の確立が必要とされる。特に,損傷度の評価手法と補修・補強後の構造物の性能評価手法が確立されれば,新設構造物に限らず,既設構造物であっても,適切に復旧させることで,構造物を長寿命化させることが可能となる。しかしながら現状では,損傷度を決定する指標ですら定かでなく,被災構造物の補修・補強後の性能評価に関する研究は,大きな損傷を受けた部材や構造を補修した場合が多く,系統的な検討がなされていない。そこで本研究では,RC部材の損傷指標の検討と補修後の性能を評価するための基礎的なデータを取得することを目的に,曲げ破壊するRCはりの載荷実験を行った。損傷指標に残留ひび割れ幅を用いた結果,残留ひび割れ幅と最大変位の間には相関性が確認された。ひび割れ注入や圧壊したかぶりコンクリート部の断面修復を施した補修試験体の載荷実験からは,初期載荷時に引張鉄筋に生じる残留ひずみ・応力が補修試験体の耐荷性能に影響を及ぼすこと,補修方法によっては破壊領域が広がることが確認され,補修試験体の性能評価が可能な解析モデルの構築にあたっては,これらの要因を適切に考慮する必要がある。
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