2005 Fiscal Year Annual Research Report
不連続面の力学的不安定化と破壊伝播に関する理論・数値解析
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17760391
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上西 幸司 神戸大学, 都市安全研究センター, 助手 (60311776)
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Keywords | 不連続面のすべり / 地震のモデル / 斜面崩壊 / トンネル崩落 / 界面不安定現象 / 変分法 / 非線形すべり軟化則 / 三次元不連続面の安定性 |
Research Abstract |
平成16年10月新潟中越地震災害をはじめ、各地で頻繁に起こり得る地震、斜面崩壊、トンネル崩落などの現象は周囲に深刻な人的、物的被害をもたらすため、その発生機構の解明および影響の定量的評価の手法の確立が急務となっている。このような災害の多くは、断層や節理など地質学的不連続面のすべり(力学的不安定現象)により引き起こされるが、不連続面の力学的性質そのものについては未だ不明な点が多い。特にすべりが比較的安定な準静的成長段階から動的状態へと遷移する過程に関する研究は、世界的にみても未だ初期段階、着手段階であり、解明すべき問題が多い。本研究では、まず、エネルギ変分法に基づいた解析を進め、三次元的に広がる不連続面のすべり安定性を評価し、不安定現象を起こす外部応力の最小作用領域(例えば楕円形)の縦横比などを求めた。その結果、三次元不安定問題における臨界領域の大きさは二次元的に取り扱う場合とオーダー的には同じであることが明らかとなった。これは、例えば、地震時に解放される力学的エネルギを定量的に評価する上で非常に重要な結果である。従来のすべりや亀裂の問題に関する理論解析の多くは、特異積分で表された力学的平衡条件式をそのままの形で解こうとするため、特にすべり領域端において解析が煩雑となる。しかしながら、今回行ったように系全体のエネルギのバランスを考え、その安定条件(変分)を評価すれば、特異積分を直接評価する手間を省略することができる。その結果、非線形すべり軟化則に従う三次元不連続面の安定性という複雑な問題も比較的容易に解析可能となっている。得られた結果(すべり領域の臨界条件)も至極簡単な数式で表されており、各種計測現場などでもすぐに適用可能である。
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