2006 Fiscal Year Annual Research Report
干潟生態系の維持・再生に資することを念頭に置いた土砂環境動態予測モデルの開発
Project/Area Number |
17760397
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Research Institution | Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
佐々 真志 独立行政法人港湾空港技術研究所, 地盤・構造部, 主任研究官 (10392979)
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Keywords | 土砂環境動態 / 生態系修復・整備 / 干潟 / 自然現象観測・予測 / 土壌圏現象 / サクション / 底生生物 / 堆積構造 |
Research Abstract |
本年度に得られた研究実績の要点は次のようである。 1.砂質、泥質および砂-泥二層から構成される自然および人工干潟地盤に対して、一般的な土質特性の調査に加え、地球物理学的手法の一つである表面波探査を適用した結果、地盤の硬軟を表すせん断波速度の分布を定量的に把握することにより、多様な土質の干潟地盤の堆積構造を効率的に評価できることを示した。そして、硬軟分布や間隙分布として定量化された干潟土砂堆積構造の形成要因について、提案する土砂環境動態予測モデルにより解析した。その結果、本モデルは、波浪や潮流を通じて堆積した土砂の地下水位変動に起因したサクション動態による土骨格の繰り返し弾塑性変形とこれに伴う多様な干潟土砂堆積構造を整合的に説明できることを示した。さらに、提案する理論モデルによって、干出時の熱照射の下で地表蒸発や土中塩分集積をともなう干潟土砂の保水動態を定量的に記述できることを示した。そして、得られた知見を活用して、良好な保水場を実現するための許容地下水位の設計指針を提示した。 2.上述の成果に基づいて、本研究では、さらに、干潟底生生物の活動形態と土砂物理環境の関わりを解明することにも精力的に取り組んだ。すなわち、自然砂質干潟における代表的な巣穴底生生物であるコメツキガニを対象として,現地動態観測により,巣穴住活動が地下水位・サクションの動態と密接にリンクしていることを明らかにした.そして、干潟表層土砂の硬軟や強度の形成に重要な役割を担うサクションと相対密度を制御した一連の室内生物実験により,巣穴住活動の性能を支配する臨界・最適・限界土砂環境場の存在を見出した.さらには、得られた知見を活用して,良好な住活動を持続的に実現するための生態土砂環境場の評価・管理指針を提示した.
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Research Products
(6 results)