2006 Fiscal Year Annual Research Report
線状対流系の組織化構造に着目した集中豪雨制御手法の開発に関する数値実験的研究
Project/Area Number |
17760398
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 善晴 宇都宮大学, 工学部, 助手 (80344901)
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Keywords | メソ気象 / 線状対流系 / 集中豪雨 / 気象制御 / 数値実験 |
Research Abstract |
我が国の山岳地域のような複雑な地形条件を持つ地域では,地形の影響を受けて雨域が激しく変動し,豪雨が度々発生する.このような大気現象に対する地形効果を解明することは,豪雨災害に対する適切な防災計画を策定する上で大変重要な課題であるとともに,集中豪雨制御の可能性やその技術的課題を明らかにするための重要なアプローチとなる.そこで本研究では,集中豪雨の発生・維持機構の解明を当面の目的として,メソ気象数値モデルMM5を使用した実験的な数値シミュレーションを行った.特に本年度は,地形形状および大気条件の変化による風速場や降水量に対する影響に着目することで,それらの要素が集中豪雨の発生・維持機構にどのようなメカニズムでどの程度の影響を及ぼすかを検討した. 等圧面一様な大気条件を用いて,積雲発生地点の地形標高を段階的に変化させるシミュレーションを行った結果,解析対象とした線状対流系によってもたらされる降水量の領域最大値が,標高の増加にともなって増加するケースと減少するケースに分けられることが分かった.後者のケースでは,積雲発生領域における風速場の時間的変動が非常に大きく,積雲の組織化構造が十分に発達できないために領域最大降水量が減少することや,領域平均降水量の変化量は比較的小さく,地形形状の変化によって降水の集中度が大きく増減することが示された. 一方,積雲発生領域における気温および水蒸気量を段階的に変化させ,その変化が豪雨の発生・維持機構にどのような影響を与えるかについて解析を行ったところ,気温および水蒸気量の増加に対して領域平均降水量は正の相関を示す一方で,領域最大降水量は減少傾向を示すことが分かった.すなわち,大気条件に大規模なエネルギーを付加することで,対流活動が活発化して全体の降水量は増加するが,一方で対流活動の空間的集中度が小さくなり,最大降水量は減少することが分かった.
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Research Products
(5 results)