2006 Fiscal Year Annual Research Report
組織乱流理論に基づく魚の遡上に適した階段式魚道の設計指針の確立
Project/Area Number |
17760408
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
鬼束 幸樹 九州工業大学, 工学部, 助教授 (20293904)
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Keywords | 開水路 / 魚道 / 河川生態系 / 通し回遊魚 / 階段式 |
Research Abstract |
戦後,ダムや堰が日本各地の河川に設置された.ところが,ダムや堰のような河川横断構造物は河川水位を縦断方向に分断する.こうした状況は魚の河川縦断方向の移動を阻害するため,サケやアユのような回遊魚にとっては種の絶滅を意味する.そのため,ダムや堰に魚道が設置されるようになった.魚道とはダムや堰の前後の水位差をなめらかに接続,あるいは小さく分割し,魚の遡上を助ける施設である.ところが,魚道を設置しても魚がほとんど遡上しないとの報告が多数寄せられている.現在のところ,魚道内の水理特性がほとんど明らかにされていない上,水理特性と魚の行動特性との関係は全くと言っていいほど解明されておらず,対策が立てられないのが現状である.本研究は,階段式魚道の水理特性を解明すると共に,水理特性と魚の行動との関係を解明し,魚の遡上が可能な魚道の設計指針を示すことを目的とする. 階段式魚道には通常,切り欠きが設置される.切り欠きの位置は交互切り欠きおよび片側切り欠きの2つのタイプが存在する.しかし,どちらのタイプが遡上に適しているかどうかは不明であった.そこで,切り欠きの位置を片側および交互の両者を作成し,流量を系統的に変化させて遡上実験を行った.その結果,片側切り欠きの方が遡上率が高いことを解明した.この原因を明らかにするために,電磁流速計を用いた流速計測を行った.その結果,片側切り欠きでは流れが直線的に流れているのに対し,交互切り欠きではプール内で3次元的に流れているため,走流性のある魚が上流方向を見失っていることが一因と推測された.
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