2005 Fiscal Year Annual Research Report
日帝時代の韓国における日本人土木技術時の仕事とその設計思想
Project/Area Number |
17760420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 祐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00282872)
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Keywords | 日韓併合期 / 朝鮮総督府 / 慶尚南道 / 橋梁 / 設計史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日韓併合期(1910-1945、韓国では「日帝時代」と呼ぶ)に、日本人技術者が日本支配下の朝鮮半島においてどのような仕事をしていたのか、その事実及び背景にある設計思想を明らかにする基礎研究である。既往研究がほぼ皆無であるため、文献の洗い出し、現地調査、関係者へのヒアリングを調査の出発点に定め、平成17年度の具体的な研究活動として、(1)日韓両国に残存している文献史料の発掘調査、(2)慶尚南道における当時建設された橋梁の現地調査[2回]、(3)当時の関係者もしくはその遺族へのインタビュー、の三点を行い、次の成果を得た。 第一に、「朝鮮総督府及所属官署職員録」「施政二十五年史」「同三十年史」等の極めて貴重な文献を発見し、それらに基づいて、朝鮮総督府と地方(土木出張所)の組織体制及びその変遷、さらにキイパーソンと考えられる技術者を特定した。第二に、朝鮮総督府が行った土木事業の概略を経年的に整理し、当時の朝鮮半島において課題となっていたインフラ整備とその実情について明らかにした。第三に、昭和初期に慶尚南道に架設された道路橋6橋について、その事業背景、事業時期、事業主体、設計者、設計の特徴を明らかにした。 上記の成果は、当時の朝鮮半島における土木事業に関する個別の資料(工事報告書等)が散在している現状にあって、それらを関連づけて相互に補完して分析するためのベースとなりうるものである。これによって、日韓併合期の朝鮮における土木事業の全体像、また個々の土木事業に関する詳細な事実を研究するための土台が整備されたと言える。
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Research Products
(1 results)