2005 Fiscal Year Annual Research Report
交通事故死者および負傷者の損失評価値の計測に関する研究
Project/Area Number |
17760431
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
今長 久 中央大学, 理工学部, 助手 (90384734)
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Keywords | 交通事故 / 損失評価値 / 支払意思額 / 期待余命 / 重度後遺傷害 / CVM / 標準ギャンブル法 / 時間得失法 |
Research Abstract |
死亡の損失評価値への年齢の影響 死亡の損失評価値を年齢別に推計する手法として,CVMを用いて評価をする方法(直接計測アプローチ)とCVMを用いて軽度の負傷の損失評価値を計測し,この軽度の負傷と死亡の損失評価値の限界代替率を標準ギャンブル法を用いて計測し,2つの値を用いて評価をする方法(チェーンアプローチ)の2つの手法の特性を検討した. 後者の手法は,負傷の損失評価値,限界代替率等の複数の値を計測しそれらを掛け合わせるという操作をするため,年齢による違いのような詳細な分析をするには,それぞれの計測値への年齢の影響が複雑に入り込むため,適していないことがわかった. 現在,上記の知見を踏まえ,追加調査を実施した段階であり,現在,結果の分析に入った段階である. 重度後遺傷害の損失評価値の計測 重度後遺傷害を評価する手法として,3つの手法を用いて定量化を実施することとした. 1.CVMを用い事故に遭い重度後遺傷害になるリスク(確率)を削減できることへの支払意思額を調査し,重度後遺傷害の損失評価値を計測する.2.重度後遺傷害と死亡の損失評価値の限界代替率を修正した標準ギャンブル法を用いて計測する.3.時間得失法を用いて,重度後遺傷害と死亡の損失評価値の比率を計測する.(2および3から重度後遺傷害の損失評価値を導出するに死亡の損失評価値を別途計測しておく). 2の手法は重度後遺傷害と死亡の発生確率のトレードオフから評価をする手法であり,一方3の手法は,死亡により失う余命の長さと,重度後遺傷害の状態で生活する時間の長さのトレードオフ関係から評価をする手法である. 現在調査を実施し分析の途中であるが,重度後遺傷害等級一級の症状については,死亡よりも大きな損失であるという結果(CVMでは1.71倍,標準ギャンブル法では1.45倍,時間得失法では1.26倍)が出ている.
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