2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760439
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
山田 俊郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30335103)
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Keywords | リン / 懸濁態 / 水環境 / 化学的連続抽出法 / 面源負荷 / 農耕地 / 流出 |
Research Abstract |
環境中での動態を考慮した流域から発生するリン負荷の評価を行うことを最終的な目的として、柑橘園を中心とした農耕地から流出するリン負荷の実態を把握をするため、東海地方東部の河川およびその流域(集水面積75ha)において調査研究を行った。基本的な水質・水文調査とともに、連続遠心分離を用いて回収した河川水中懸濁物質および流域内土壌について、化学的連続抽出法による懸濁態リンの分画分析を行った。化学的連続抽出法では懸濁態リンを9成分に分画した。その結果以下の知見を得た。 1)調査対象とした柑橘園内河川水中の全リン濃度の平均値は0.04mg/Lであった。降雨の影響が少ないときは、リンは主に溶存態として存在していた。 2)柑橘園内から全リンの流出は、流量が増加すると濃度が増加する洗い出しの特徴が見られ、特に懸濁態リンは洗い出しの傾向が強く、流量増加時には懸濁態としてリン負荷が柑橘園を含む流域から多く発生すること示唆された。 3)農耕地内を流れる河川水中に含まれる懸濁態リンで主要なものは有機態リン、Fe,Mn結合無機態リンであり、全体の7割以上を占めた。微生物に比較的利用されやすいとされる有機態リンが40〜50%含まれていた。 4)柑橘園内河川の河川水中懸濁物質に含まれる形態別リン量と、柑橘園の影響を受けない森林内を流れる調査地点上流の河川水中懸濁物質中の形態別リン量を比較すると、柑橘園内を流れる河川懸濁物中に含まれるリン量は上流の2倍に増加し、イオン交換で脱着しやすい吸着リンおよび鉄マンガン吸着態リンが増加していた。 今後は調査を継続し、流域から発生するリン負荷を形態別に評価し、流出の特徴を明らかにするとともに、下流の感潮域を含めた河川水環境中でのリン形態変化について明らかにする。
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