2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760439
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
山田 俊郎 国立保健医療科学院, 水道工学部, 主任研究官 (30335103)
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Keywords | リン / 懸濁態 / 水環境 / 化学的連続抽出法 / 面源負荷 / 農耕地 / 流出 |
Research Abstract |
本研究は流域から発生するリン負荷の評価を行うことを最終的な目的として、柑橘園を中心とした農耕地から流出するリン負荷の実態を把握するため、東海地方東部の河川およびその流域フィールド調査を中心とした研究を行っている。本年度の結果を下記に示す。 1 調査対象河川のリンおよびその他の水質項目を週一回、定期的に1年間調査を行った。柑橘園内を流れる河川水中のリン酸濃度の年間中央値は0.022mg-P/L(n=51)であり、森林域では0.001mg-P/Lであった。窒素濃度も同様の濃度増加の傾向があった。河川水中の窒素成分は年間を通して濃度が一定であったが、リン濃度は夏から秋にかけて徐々に増加し、10、11月にピークを示す傾向が見られた。この時期の施肥の影響が直接河川リン濃度に表れていると考えられた。 2 負荷の年間連続調査を行うために、河川に水文連続監視装置を設置し、水位、雨量などの連続観測を行った。また降雨時に15分毎の連続採水を行い、降雨開始後はリン酸濃度の減少、降雨強度が上昇降雨中期にリン酸濃度の上昇が確認でき、降雨に伴う水量と水質の変化の詳細を明らかにすることができた。今後、降雨時の調査を複数回行い、流出の特徴を明らかにする予定である。また河川からのリン負荷量の算出方法について評価し、調査日の結果に基づく従来法で推定した年間負荷量は、負荷と流量の関係から求めた負荷量よりも3割多くなることが分かった。 3 柑橘園地内河川水中の懸濁態リンの中で主要なものは有機態リン、鉄・マンガン結合無機態リンであり、柑橘園内を流れる河川懸濁物中に含まれるリン量は上流の2倍で、脱着しやすい吸着リンおよび鉄マンガン吸着態リンが増加していた。懸濁態リン発生源と考えられる柑橘園において、土壌流出防止として植えられたナギナタガヤの下の土壌のリン含量が高く、草生栽培のリン流亡抑止の有効性が示唆された。
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