2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物へのDOM吸着特性に基づいた最適凝集条件の検討
Project/Area Number |
17760443
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
小松 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 研究員 (20391104)
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Keywords | DOM(Dissolved organic matter) / 吸着実験 / UV / DOC比 / 分子量分布 / 3次元励起蛍光マトリックス |
Research Abstract |
凝集処理によるDOM除去の最適化を目的として、2種類のpH条件下(pH=9.0およびpH=5.0)における、金属酸化物へのDOM吸着特性を評価した。 金属酸化物として酸化鉄を用い、霞ヶ浦3地点+流入河川水のDOMを対象に吸着実験を行った。その結果、pH=9.0の条件下において酸化鉄に吸着されたDOMは全体の18〜32%にとどまったものの、pH=5.0では44〜64%と高い吸着率を示した。つまり、霞ヶ浦における湖沼水及び流入河川水は低pHにおいて吸着率が大幅に上昇することが確認された。pH=5.0の条件下で卓越すると考えられる荷電中和効果が、湖沼水、流入河川水中のDOMを吸着するために有効に働いたと示唆される。 霞ヶ浦の吸着実験前後におけるUV/DOC比の変化から、DOMのうち吸着された成分の特性を調べたところ、pH=9.0では殆ど変化が見られなかったのに対し、pH=5.0では比が小さくなっていくことが分かった。こうした傾向は、分子量分布の変化にも反映されており、pH=9.0では平均分子量に変化が見られなかったものの、PH=5.0では平均分子量が小さくなっていた。すなわちpH=5.0の条件下では、比較的高分子で疎水性のDOMが選択的に吸着されたことが示唆された。 吸着実験前後における3次元励起蛍光マトリックスの変化から、吸着実験前後のDOM組成変化について推定を行った。その結果、湖水ではpH=9.0においてタンパク質様DOMが吸着され、pH=5.0ではさらにフミン酸様DOMが吸着されていることが分かった。一方、流入河川水においては、pH=5.0においてもタンパク質様DOMが残存しており、流入河川水と湖水の挙動に差が見られた。また流入河川水ではし尿由来とされるピークの存在も確認され、それらはpH=9.0の条件下で残存するなど特徴的であった。
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