2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物へのDOM吸着特性に基づいた最適凝集条件の検討
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17760443
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
小松 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 研究員 (20391104)
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Keywords | DOM(Dissolved organic matter) / 吸着実験 / 樹脂分画 / 疎水性 / 親水性物質 / 三次元励起蛍光スペクトル |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、金属酸化物として酸化鉄を用い、霞ヶ浦3地点のDOMを対象に吸着実験を行った。またDOMの除去特性をXAD樹脂分画手法によって詳細に検討した。 実験は(1)DOMの吸着実験→残存性DOMについて樹脂分画→測定、(2)DOMの樹脂分画→それぞれの画分を対象に吸着実験→測定の2通りのやり方で行った。 (1)の実験結果ではDOM全体としてpH=9.0で37〜50%、pH5.0で59〜70%の除去率を示しており、低pHにおける除去率が高いことが分かった。pH=5.0の条件下で卓越すると考えられる荷電中和効果が、湖沼水、流入河川水中のDOMを吸着するために有効に働いたと示唆される。またpH=9.0ではDOM中の疎水性物質の除去率が34〜58%、親水性物質の除去率が36〜43%であり差異は見られなかった。一方、pH=5.0では疎水性物質が68〜80%、親水性物質が53〜62%の除去率を示しており、疎水性物質の除去率が明白に高いことが分かる。つまり、吸着作用に荷電中和作用が加わると、疎水性物質の選択的吸着が起きると考えられる。 (2)の実験結果では、DOM全体としてpH=9.0で20〜40%、pH=5.0で57〜62%の除去率を示しており、(1)と比べて特にpH=9.0において除去率の低下が顕著だった。またpH=9.0ではDOM中の疎水性物質の除去率が18〜33%、親水性物質の除去率が37〜48%を示していた。つまり(1)で得られた結果とは異なり、pH=9.0で親水性物質の除去率が高いことが分かった。(1)のpH9.0条件下では、弱い吸着作用によりDOM全体にわたる吸着作用が起きた一方で、(2)のpH9.0条件下では、親水性物質との間に強力な吸着が起きたためではないかと考えられる。
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