2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄骨構造部材の塑性ひずみ損傷度及び残存性能評価に関する基礎実験
Project/Area Number |
17760450
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 由香 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70313476)
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Keywords | 建築構造 / 鋼部材 / 塑性ひずみ / 損傷 / 残存変形性能 / 硬さ |
Research Abstract |
近年、地球環境問題への配慮から、建築構造物の長寿命化、建築資材の延命・循環を意図した研究が進められている。これを実現するためには、地震などの外力を受けた後の構造物や一旦解体された鋼部材の残存性能を診断し、構造物や部材が継続使用可能かどうかを判定する技術が求められる。 本研究の最終目標は、塑性ひずみによる損傷を受けた鋼部材の残存性能を、現場で簡便に計測できる物理量から推定する手法を確立することである。今年度の研究計画では、塑性化するまで加力した鋼部材を対象に、塑性ひずみ量、残存変形性能及び硬さ計測値の相関を調査し、残存変形性能を推定するために最も適した変数を特定することを狙いとした。先ず、SN490B材によるH形梁試験体を製作し、梁端フランジに繰返し塑性ひずみを与え、簡易硬さ計を用いてこの部位の硬さを測定した。次に、同じ部位から小型試験片を採取して引張破断試験を行い、破断に至るまでのひずみ量を計測した。さらに、無垢材に単調引張ひずみを与えた後に除荷し、除荷後の硬さを計測する実験シリーズを併行して実施し、載荷パターン(繰返し・単調)の違いによる影響を考察できるようにした。その結果、塑性ひずみを作用させた後の変形性能は、塑性ひずみによる硬さの変化量と強い負の相関を示した。さらに、両者の関係には繰返し、単調の別による相違は認められず、残存変形性能を硬さ変化量のみの関数として表すことができた。今後、鋼種や試験条件が異なる場合ついて追試験を行い、知見の信頼性を確認する必要があるが、本実験によって確認された傾向は、残存変形性能の推定方法を構築する上で非常に重要である。
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