Research Abstract |
平成18年度は,以下に示すように,種々の構造系の不確定性に着目し,錐相補性条件に基づいてその応答量のばらつきを評価する手法を開発した.また,エネルギー逸散を伴う現象の代表としてCoulomb摩擦を伴う接触問題を取り上げ,数理計画法に基づく釣合経路探索法を開発した. [1]構造物が受ける外乱を正確に予測することは,本質的に困難である.また,現実の構造物の剛性は,施工誤差や損傷などの影響により,不確定性を有することが普通である.本研究では,構造系の剛性と外乱の不確定性を仮定し,様々な不確定性モデルに対して,構造物の静的な応答量のばらつき具合を評価する手法を提案した.特に,錐相補性条件を用いることで,不確定性をある変数行列の半正定値条件に帰着できることを示した.このことにより,非線形最適化問題を解くことで,構造系の応答量のばらつきを効率的に評価することができる.本研究とその関連研究の成果は,3編の論文として国際誌に掲載された. [2]摩擦を伴う接触問題は,エネルギー逸散を伴う力学現象の代表例である.本研究では,準静的載荷・大変形の仮定の下で,摩擦を伴う接触問題の釣合経路を求めるアルゴリズムを開発した.この問題の釣合経路には,多数の分岐経路が存在することが知られている.そこで本研究では,複数の経路の中から,エネルギー逸散が最大となる経路を自動的に探索できる手法を提案した.この手法の特徴は,錐相補性条件を制約条件とした数理計画問題を逐次的に解くことである.この研究はJ.A.C.Martinsとの共1司研究であり,成果は1編の論文として国際誌に掲載された.
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