2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性ダンパーを組み込んだ木造住宅の対風安全性・居住性に関する実験的研究
Project/Area Number |
17760463
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
下村 祥一 神奈川大学, 工学部, 助手 (10343633)
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Keywords | 粘弾性ダンパー / 木造制振壁 / 制振住宅 / 地震 / 強風 / 動的加力 / 温度 / 復元力特性 |
Research Abstract |
本研究は,木造住宅用の粘弾性ダンパーに対して長時間の繰り返し加力実験を行う。そして,先ず対風・耐風性能に対する効果を検証し,次いで小振幅から大振幅まで,短時間の繰り返しから長時間の繰り返しまでを包括的に評価できる設計手法を提案することを目的とする。 平成17年度は,粘弾性ダンパーを取り付けた木造制振壁を作製し,その正弦波による動的加力実験を行った。加力周波数は,0.01ヘルツから3ヘルツまで,振幅は制振壁の層間変形角で1/300ラジアンから1/120ラジアンまでをパラメータとした。制振壁の種類は,木造フレームの変形を効率よく粘弾性体のせん断変形へ変換できる「シアリンク型」である。粘弾性材料は,温度依存性を有するが広いひずみ振幅領域で線形構成則を適用できるアクリル系粘弾性体とした。加力は,台風の継続時間を2時間と仮定して動的に2時間連続して行った。 実験結果から,軸組工法耐力壁の長時間加力(研究代表者等の既往の研究)で見られた仕口部のガタが制振壁では見られないこと,笠井・坂田等が提案している粘弾性ダンパー付き制振壁の評価方法が長時間加力にも適応すること明らかにした。また,熱力学第一法則を適用した差分法による粘弾性体の温度と温度周波数換算則を適用した分数階微分構成則による粘弾性体の力学特性の推定を試みた。加力開始時点から温度が上昇していく間は,実験結果と推定結果で差が見られたものの,定常状態では粘弾性体の温度と力学的性質が十分な精度で推定でき,さらに制振壁の力学特性が推定できることを明らかにした。
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