2006 Fiscal Year Annual Research Report
脆性破壊に先行する延性不安定破壊の数値シミュレーション-溶接欠陥の品質管理基準
Project/Area Number |
17760464
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
東 康二 崇城大学, 工学部, 講師 (80320414)
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Keywords | 溶接欠陥 / 脆性破壊 / 延性亀裂 / 表面亀裂 / 塑性拘束 / FE解析 / 破壊評価線図 / 内部欠陥 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は,溶接接合部における脆性破壊を防止するための欠陥の評価基準の策定である.欠陥形状が表面亀裂である場合,亀裂先端の塑性拘束は弱く,延性亀裂が大きく進展した後に脆性破壊に到る.そこで通しダイアフラム形式柱梁接合部を単純化した試験体を用いて,表面欠陥から進展した延性亀裂を起因とする脆性破壊を再現する繰返し載荷実験を行った.試験体の溶接始終端部には貫通欠陥(機械切欠き及び疲労亀裂)を挿入し,両端貫通切欠き(DENT)試験片と同様の塑性拘束の弱い状態とした.予めFE解析を用いて様々な欠陥寸法における破壊予測を行い,亀裂深さの浅い(脆性破壊が発生しない)場合と深い(脆性破壊が発生する)場合の予亀裂深さを決定した.実験の結果,浅い切欠きの場合には延性亀裂は安定成長を続け破壊には到らず,深い切欠きの場合には延性亀裂が進展し脆性破壊に到る過程を再現でき,予測と一致した.ただし,延性亀裂の過大な進展により,破壊発生時の変形量は予測値よりもはるかに大きく,現在の評価手法では安全側過ぎる傾向が確認された. 本実験に平行して三点曲げ(SENB)試験片を用いた破壊靭性試験も行い,R曲線と限界J値J_cを求めた.実験温度は,本実験と同じく,シャルピー破壊靱性値が47J程度となる-20℃としたが,靭性試験片の塑性拘束が強いため,延性亀裂の進展量は本実験における延性亀裂の進展量と比較して僅かであった.塑性拘束を考慮したJ_cを推定する方法は既に提案しているので,延性亀裂長さと靱性値の関係を求めるために,初期亀裂深さの浅いSENB試験片による破壊靱性試験を行い,本実験の結果に照合する必要があることが明らかとなった.また延性亀裂の駆動力をワイブル応力で表現したものを数値解析に当てはめ,亀裂進展解析により亀裂先端の応力変動を考慮して,延性亀裂進展時の塑性拘束についても検討する必要がある.
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Research Products
(3 results)