2005 Fiscal Year Annual Research Report
相変化材料を用いた全蓄熱空調における外気導入とパッシブ調湿による省エネルギー効果
Project/Area Number |
17760465
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 清香 北海道大学, 大学院・工学研究科, 寄附講座教員 (00396300)
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Keywords | 相変化材料(PCM) / 蓄熱空調 / 全蓄熱 / 躯体蓄熱 / 床吹出し空調 / 温熱環境 / 外気冷房 / 省エネルギー性評価 |
Research Abstract |
本研究では、粒径2〜3mmの粒状に保持された相変化材料(PCM)の適用により、躯体蓄熱時の蓄熱容量を増大させ、これらの組み合わせにより水や氷の蓄熱槽を用いなくとも、全蓄熱運転を可能とする全面床吹出し空調システムについて、本年度は実規模の環境試験室(床面積9.2m^2)を用いた実証実験を行った。実験ではPCMとしてパラフィンワックスを用い、これをマイクロカプセルに封入して固形化したものを粒状PCMとして使用した。まず、この環境試験室を対象とした数値シミュレーションを行い、夜間蓄熱時の床下への給気温度が12〜13℃程度であるときに、蓄熱終了時の温熱環境を損なわずに全蓄熱運転が行えることを示した。ここで得られた条件を用いて上記の実験を行った結果、深夜電力時間10時間の冷蓄熱で、躯体とPCMへの合計蓄熱量は2.38MJ/m^2に達し、昼間の冷房負荷に相当する量が得られ、全蓄熱運転を行うことができた。また、床面からの冷放射の効果により、室温が27℃を超えた場合にも、快適性を維持できることを表した。これらの実験結果は、蓄放熱特性、室内温熱環境に関して、上記の計算結果をほぼ再現していることが示された。以上の全蓄熱運転時に、被験者を用いた温冷感申告を行った結果、従来指摘されてきた女性の足元付近の寒さは確認されなかった。全身温冷感と快適感の申告からも、「寒い」若しくは「不快」の申告は見られず、一定温度での調温効果を有するPCMの使用により、課題であった午前中の室内の過剰な冷却を改善できたといえる。 さらに、暖房運転時の蓄放熱特性についても検討した結果、昼間、窓面から入射する太陽熱が床面においてパッシブ的に蓄熱される時、PCMの使用により室温のオーバーシュートを低減できる可能性が示された。
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Research Products
(3 results)