2005 Fiscal Year Annual Research Report
建築壁体の液水移動領域における吸放湿履歴に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17760469
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (60283868)
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Keywords | 熱水分同時移動 / 吸放湿履歴 / 液水移動 / 結露 / 独立領域理論 |
Research Abstract |
本研究では,液水移動領域における吸放湿履歴が材料の結露性状・吸放湿性状に及ぼす影響を実験・解析により明らかにすることを目的としている. 1.実験 ALCの平衡含水率及び含水率勾配水分拡散係数(以下水分拡散係数)の測定を行い,平衡含水率だけでなく水分拡散係数にも吸放湿履歴が存在することを確認した.平衡含水率は95%RH以下では,デシケータ法を,それ以上では土壌PF測定器を用いて行っている.平衡含水率については,高湿度域で吸放湿を繰り返す場合に、独立領域理論により相対湿度-平衡含水率関係が逐次追跡可能であることを確認した. 2.解析 水分拡散係数の吸放湿履歴については,松本らはALCの結露後の蒸発過程つまり過渡的条件での予測において,平衡含水率だけでなく水分化学ポテンシャル勾配水分伝導率(以下水分伝導率)にも吸放湿履歴を考慮する必要性を指摘しているが,吸放湿を繰り返す周期的条件下においては十分明確になっていない,この水分伝導率の履歴の影響を検討することを目的として,まず測定されたALC水分拡散係数の測定値を用いて,独立領域理論により水分伝導率の吸放湿履歴を考慮する方法を提案し,この方法を用いて,液水移動領域における過渡的条件下と,周期的条件下での解析を行い,水分伝導率の履歴の影響について検討を行った.そして以下の結果を得た. 1)過渡的条件では,平衡含水率と水分伝導率両方の履歴を考慮することで,定常状態に達する時間が遅くなり,定常状態での含水率は高くなる.これは,水分伝導率の履歴を考慮しないと蒸発速度が過大になるという,松本らの行った解析結果と同様であった. 2)周期的条件では,平衡含水率の履歴を考慮することで,相対湿度の振幅が大きく高い含水率を維持し,さらに水分伝導率の履歴を考慮することで,相対湿度の平均値も大きくなり,より高い含水率を維持する.
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