2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市再生における地域協働システムに関する研究-ソウル市の清溪川復元事業を通して-
Project/Area Number |
17760484
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
郭 東潤 千葉大学, 工学部, 助手 (10375610)
|
Keywords | 持続可能性 / 都市再生 / 環境再生 / 合意形成 / 清渓川復元事業 / ソウル市(韓国) |
Research Abstract |
世界で都市再生の実現には政府だけでなく、地域や主体的住民との連携による取り組みが不可避である。日本でも都市再生に関する計画や規制の作成や決定、都市開発事業などに住民参加の重要性が言及されているが、現状ではその体制を十分と言えない。 一方、韓国では、1990年代に入って地方分権と伴い参加型の都市再生が各地で展開しており、特にソウル市では都心部の「清溪川復元事業」を通して地域合意による都市環境再生を図っている。この事業は2003年7月から、約6kmにわたる高架高速道路を撤去し、河川を復元する事業であり、周辺商店街の再開発も包括的に計画されたものである。ところが、周辺商店街再開発については、地域住民との協議と対立が韓国内の社会問題となっている。 本研究実施の1年目では、主に「清渓川復元事業」の計画内容、都市再生の戦略実態や課題について調査を行った。調査方法として現在まで、3回にわたって行政機関(ソウル市、ソウル市市政開発研究院)や市民団体(NPO)の協力による見地調査を行った。さらに、事業実施にあたる住民参加の課題や合意形成について明らかにするため、清渓川商圏守護対策委員会などの周辺商店街の地域住民を対象にヒアリング調査を行った。 調査結果、清渓川復元事業による都市再生要因は、新環境的な価値観の変化と、都市再生パラダイムの転換に起因している。主な復元事業の取り組みは、(1)清渓川復元による歴史的空間創出、(2)歩行者中心の交通システム改編、(3)清渓川周辺の再開発と連動した都心産業の再活性化である。 上述した一連の成果は、「韓国都心部の環境再生による都市再生の試み-ソウル市「清渓川復元事業」を事例に-、2005年度日本建築学会関東支部研究報告集II、2006年3月」において発表した。今後、清渓川周辺の再開発実施にあたり、対立要因や合理的な合意形成の仕組みについて明らかにしたい。
|