2007 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市郊外戸建住宅地における居住の継続と開発抑制に関する研究
Project/Area Number |
17760487
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
原田 陽子 University of Fukui, 工学研究科, 助教 (00377475)
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Keywords | 地方都市 / 効外住宅地 / 土地利用・土地活用 / 自律的住環境形成 |
Research Abstract |
本研究では、地方都市郊外住宅地におけるこれまでの開発状況の現状把握を行うと共に、居住の継続と乱開発抑制のために必要な物的・質的課題について検討を行うことを目的とする。 具体的には、福井県鯖江市郊外の田園地帯(白地地域)における小規模住宅開発が点在する地域を対象に、主に以下の点について明らかにした。 ・ 住宅地の開発は1990年代後半以降活発化しており、また団地の規模も小規模化の傾向にある。 ・ 住宅団地の多くは、周辺の集落など既存の住宅地と連携することなく、団地独自で自治会を形成している。 ・ 団地の規模や住宅の規模共に小規模で、田園に孤立して立地する住宅に住む居住世帯の多くは、定住意識が低く、周辺地域の居住者との交流がほとんど見られない。 さらに、居住者組織代表者へのヒアリングなどを通して、主に以下の2点が明らかになった。 ・ 土地所有者の多くは、高齢化などにより農業を自ら行うことが難しく、土地を売却あるいは賃貸することにより現金収入を得たいと考えている。 ・ 一方、既存の郊外住宅地に居住する世帯の多くは、地区が田園から市街化していくことを地区の「発展」として捉え、また地区内に新規の住宅地が開発されることは、若年層の流入による活気や自治会費の増加などが期待されることから歓迎すべきこととして捉えている。 以上ことから、今後の地球環境の問題や高齢化などが予想される中で、コミュニティの育成などを促し長期的にも持続可能な居住地とするため、既存の住宅地や集落に調和し隣接するような形で配置していくことが望まれる。また、土地所有者や居住者自身に対し、散発的な郊外開発の問題点を自覚させるよう、自治体などが中心となって情報提供や教育の機会を設けたり、既存の環境資源を活かした土地利用に誘導するような支援策を行うことが重要である。
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