2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者向け優良賃貸住宅の需給実態とその課題に関する調査研究
Project/Area Number |
17760489
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
谷 武 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00311720)
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Keywords | 整備費補助と家賃補助 / 自治体の財政難 / 都道府県と市町村の役割 / 管理期間 / 併設・隣接施設 / 入居者属性 / 入居理由 / コミュニティ |
Research Abstract |
高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)は、平成13年に高齢者の居住の安定確保に関する法律で法制化されたが、その供給はなかなか進んでおらず、都道府県によっても供給状況が大きく異なっている。本研究では、平成18年2月現在で6団地以上供給されている16都道府県を対象に、都道府県庁や住宅供給公社に赴いて高優賃担当者等にヒアリング調査を行った。また、担当者に推薦して頂いた物件に赴いて視察を行うとともに、事業者や管理者、生活援助員、居住者などに対して現状に関するヒアリングを行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 入居者には70歳代の女性単身者が多く、介護認定を受けている方が2割程度であった。また、入居のきっかけは住宅の問題や子供との関係など様々であるが、高優賃の選択にあたっては家賃補助とバリアフリーである点を評価している方が多かった。 建物については、デイサービスセンター、グループホーム、ショートステイ、ヘルパーステーション、老健施設、宅老所などの高齢者向け施設、食堂、談話室、多目的ホール、共同浴室、共同菜園などの居住者のコミュニティ形成を目的としたスペースを併設した物件が見られた。 制度の運用については、都道府県が主導している場合と市町村が主導している場合が見られたが、特に後者の場合は、財政難から供給がなかなか進まないという状況が見られた。管理期間については、10年に設定している県と20年に設定している県が見られ、自治体の考え方に差が見られた。また、補助については、整備費と家賃補助の両方を実施している県が多かったが、整備費のみ、もしくは補助をせず認定だけを行っているケースも見られた。高優賃のオーナーには個人や民間法人が多いが、社会福祉法人も見られた。今後の高優賃の課題としては、補助のあり方の検討、住宅・福祉政策上の位置づけ、入居者募集における自治体の支援の必要性などが明らかとなった。
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