2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの現代住居における住まい方の伝統性と現代性
Project/Area Number |
17760508
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
篠崎 正彦 東洋大学, 工学部, 助教授 (10312175)
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Keywords | ベトナム / 集合住宅 / 伝統性 / 現代性 / 平面構成 / 住まい方 / データベース |
Research Abstract |
ベトナム・ハノイでの最初期の集合住宅団地であるKim Lien団地において入居が始まったばかりの建替え住棟を対象に調査を行った。前年度調査を行ったTrung Hoa-Nhanh Chinh団地(以下、前年度調査団地とする)は高層のタワー型住棟であるのに対し、当団地は板状高層住棟であり、住戸の平面形状が異なっていることと前年度調査団地よりやや住戸規模が小さいことによる比較を行うことが本年度調査の主な目的である。また、戻り入居者用の非常に規模の小さい住戸もあり、これについても住まい方の調査を行った。 新規入居者用の住戸は面積が80m^2程度の矩形2面開口の住戸であるが、前年度調査団地において前年度の調査で得られたのと同様の住まい方の傾向が確認できた。すなわち、(1)私室の確立、(2)公室中心の平面計画(3)インテリアデザインの充実、(4)家具だけでなく床面を利用した生活行為、(5)方位へのこだわりの少なさ、等である。一方で、共用空間は広く用意され、外気に開放されているために、共用空間での生活活動が確認できたことが前年度調査団地との大きな違いである。ベトナムの様な高温多湿な気候においては室外の共用空間も貴重な生活空間であるとともに、コミュニティの醸成にとって欠かす事のできない場であることを示唆している。 また、戻り入居者用の住戸は35m^2と従前住戸と変わらない小規模にも関わらず小さな室に区分けしてしまったために、各室の面積が不足し、特に公室においては生活に大きな支障が出ていることが見いだされた。これは現在急速に進んでいる'60年代、'70年代の集合住宅の建て替えにおいて戻り入居者用の住戸に大きな問題が起こりうる可能性を示している。 既往研究データベースについては既往研究の収集を続け、公開への準備を進めた。
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