2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における工業系企業の産業基盤整備と都市計画行政に関する研究
Project/Area Number |
17760512
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中野 茂夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (00396607)
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Keywords | 都市計画史 / 都市史 / 工業系企業 / 新興工業都市計画 / 日立 / 尼崎 / 産業基盤整備 |
Research Abstract |
平成17年度は、日立市と日立製作所を事例に、旧日立町、旧多賀町を中心に工業系企業の産業基盤整備と都市計画行政に関する研究を主としておこなうとともに、論文として公表した。 旧日立市については、戦時体制下、富国強兵をスローガンに掲げる国・その代行機関である県、企業規模拡大を目指す工業系企業(日立製作所)、企業誘致による諸利益を目論む地元住民(主として有力者である地主)らが三位一体となって工業開発のための都市計画を最優先で実施し、産業基盤整備が計画的に推進される一方、都市は無秩序に乱開発されてゆく様相を明らかにした。 いっぽう旧多賀町では、戦時下、全国23地区において実施された新興工業都市計画事業に着目して検討した。新興工業都市計画は、戦後の大規模工業開発の原型となった点できわめて重要な位置づけにある。これまで新興工業都市計画については、軍需工場用地造成のために区画整理によって強権的に土地供給がおこなわれたことが指摘されているが、多賀町では用地買収によって工業用地が造成され、その稼働にともなう住宅地造成のために区画整理事業が実施されていたことを明らかにした。そしてそれは、内務省の指導に準拠し、通常よりも高い水準で土地区画整理が実施されていたことを明らかにした。その実現にあたって、とくに道路整備については道路特性にあわせて3段階にわけて効率的に実施しようとする計画であったことも明らかとなった。 また、尼崎における工業地帯形成に関する現地調査も実施し、関係史料を収集し整理した。
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