2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代中世の建築用語とその規格 -造営史料と建築部材の検討を通して-
Project/Area Number |
17760525
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
西田 紀子 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 研究員 (80359447)
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Keywords | 中世 / 東寺 / 造営 / 建築用語 |
Research Abstract |
今年度は東寺文書目録をもとに、東寺百合文書・教王護国寺文書所収の造営関連史料から建築用語を収集した。東寺文書は、その大半が未翻刻のため、写真帖および原本を所蔵する京都府立総合資料館や東京大学史料編纂所へ出張し、史料を閲覧した。 作業を進めるに当たっては、特に造営史料の集中する函に焦点を当て、未翻刻史料の翻刻とデータベースの試験的な入力に着手した。東寺百合文書に収録された造営関連資料は、東寺の造営担当部署である「造営方」のものが大半を占めており、鎌倉から室町期にかけての山城を中心とする木材・釘用語が確認できる。ただし、東寺文書だけでは意味が判然としないものもあり、史料によっては用語の省略や略称などもみられた。史料上の用語と実際の意味を照合していくには、なお課題が残っている。 また同時代の造営用語の地域性を考察するため、都道府県史の古代中世史料集を中心に造営史料を調査した。現在、作業途中だが、島根県の出雲大社関連文書などいくつかの造営関係史料から建築用語を収集している。こうした史料の建築用語は、東寺の史料と共通するものが大半であるが、用法の差があり、建築用語の意味を類推する手がかりとして活用したい。 さらに建築を構成する部材の種類を検討するため、滋賀県愛知川町の豊満神社四脚門など滋賀県南部の四脚門を調査した。中世の四脚門は、構造はシンプルながら、軒廻り・小屋組みの構成に多様なデザインが見られる。特に、棟木を支える技法のバリエーションは興味深い。使用する部材も全ての門に共通する材と、門の構造意匠による特殊な材とがあり、大仏様・褝宗様の新様式を折衷していく上で建築部材も多様化していく様子が確認できた。
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Research Products
(1 results)