2005 Fiscal Year Annual Research Report
規則化と磁気変態の複合効果に起因する特異な相平衡の解析と機能性磁性材料への応用
Project/Area Number |
17760526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
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Keywords | 状態図 / 熱力学データベース / CALPHAD / 規則-不規則変態 / 磁気変態 / 鉄鋼材料 |
Research Abstract |
強磁性元素のFe,NiおよびCo基合金では,磁気変態や規則変態が相平衡に大きく影響する.さらに,規則相と不規則相では磁気特性が大きく異なり,原子配列の規則化が磁気特性に影響を及ぼすことが知られている.従って,規則化と磁気変態が同時に出現する場合には,それぞれの効果の相乗的な複合効果によって,相平衡は複雑な挙動をとることが予想される. 本年度は規則化と磁気変態が強め合う相互作用を示すFe-Ni2元系のFCC-A1/L1_2変態における相互作用効果を調査した.Fe-Ni2元系では,Ni_3Fe(L1_2)規則相は常磁性状態にはならないために,2元系の実験からは情報が得られないため,Fe-Ni-X(X:Si,Al)3元系合金を作製して相境界および磁気変態点を測定した.得られた実験データに基づき,Ni_3Fe-Ni_3X擬2元系状態図を作成し,Ni_3Fe-L1_2規則相における相互作用効果を評価した結果,Ni_3Fe-Ni_3X擬2元系断面上でγ/γ'2相平衡がNi_3Fe側の強磁性領域において異常に競りあがり,強磁性Ni_3Fe(L1_2)規則相が安定化されることが分かった.この現象は規則化と磁気変態が強め合う相互作用を示す結果であり,この相互作用によりNi_3Fe(L1_2)規則相では,磁気変態温度が規則化に伴い95℃上昇し,γ/γ'規則-不規則変態温度は強磁性効果により180℃上昇することを定量的に評価した.定量的に評価した相互作用効果を熱力学モデルに導入して,Fe-Ni2元系の熱力学パラメータを評価し,計算状態図を作成した. また,規則化と磁気変態が強め合う相互作用を示すFe-Al2元系のBCC-A2/B2/D0_3変態に及ぼすMnの影響を調査した結果,Mnの添加により,A2/B2,B2/D0_3変態の臨界温度が上昇することからMnは相互作用の影響を小さくすることが分かった.
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