2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性形状記憶合金超薄膜の構造および磁性の微視的測定と磁歪機構の電子論的解明
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17760534
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沢田 正博 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (00335697)
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Keywords | 超薄膜 / 磁気円二色性 / 低速電子線回折 |
Research Abstract |
本研究では、金属単結晶基板上に超薄膜試料の作製を行い、低速電子線回折(LEED)と軟X線吸収磁気円二色性測定(XMCD)により、構造と磁性の微視的測定を行う研究を実施した。本年度の研究実績は、以下の通りである。 (1)Fe/Pd (001)超薄膜の単原子層積層制御とXMCD測定 L10型のFePd規則合金超薄膜の基幹試料であるFe/Pd (001)超薄膜について、超高真空蒸着による試料作製および単原子積層制御とin-situ XMCD測定を実施した。リアルタイムRHEEDモニタリングにより、0.1ML精度で蒸着を制御できるようになった。また、超高真空下のin-situ測定により、キャッピング等の表面被覆のないそのままの状態の超薄膜試料に対してXMCD測定が可能になった。Fe膜厚が2原子層以下で、Feの軌道モーメントが増大することが明らかになった。Fe/Pd界面における軌道モーメントが増大は、FePd規則合金の垂直磁気異方性と結晶ひずみの微視的起源を考えるモデルになりうる。 (2)Cr/Fe/Cu (001)の単原子積層制御と構造評価 バルクと異なる結晶格子で成長するFe/Cu (001)超薄膜上に、Crを単原子積層することに成功した。LEEDとRHEEDの測定から、Cr 1原子層の積層で、fcc-Feに疑似格子整合した理想的なエピレイヤーが積層することが確認できた。2原子層以上の積層では、エビ成長が崩れていき島状成長に移行することも明らかになった。 本研究では、単原子単位で非磁性層と磁性層を自在に積層制御して、微視的な立揚で構造と磁性の関連を調べる基礎を確立することができた。この方法は、物質設計的手法に基づく磁性体材料開発に発展すると考えられる。
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Research Products
(3 results)